慢性の腹痛や下痢、お腹の不快感でお悩みではありませんか?過敏性腸症候群
- 緊張するとお腹が痛くなる。
- 通勤・通学時に腹痛・便意をもよおし、駅などのトイレに駆け込んでしまうことがよくある。
- ストレスがたまると腹痛や下痢になる。
- このような症状が数か月〜半年以上、慢性・再発性に続いている場合は、過敏性腸症候群かもしれません。
- 過敏性腸症候群の原因や症状、対処法などについて紹介します。
くわしくはこちらもご覧下さい。「過敏性腸症候群(IBS)について」
目次
- ○ 過敏性腸症候群って?
- ・過敏性腸症候群の病態
- ・過敏性腸症候群に深く関わる脳腸相関
- ・セロトニンの関与
- ・過敏性腸症候群と腸内環境
- ○ 過敏性腸症候群の診断
- ○ 過敏性腸症候群の症状
- ○ 過敏性腸症候群の対処法
- ○ まとめ
過敏性腸症候群って?
過敏性腸症候群は、腸に癌や潰瘍、炎症などの異常がないのに、腹痛と便秘や下痢などの便通の異常、腹部の不快な症状が長引くものです。
英語では、Irritable Bowel Syndrome(敏感な腸の症候群)といいます。略してIBSと呼ばれ、IBSと聞かれた方も多いかと思います。
成人の5〜20%、20〜30歳代の若年層に多くみられます。
原因としてストレス、メンタルな要因が深く関わっていると言われています。
ストレス社会といわれる現代に急増している現代病とも言えます。
過敏性腸症候群の病態
①大腸の蠕動運動の亢進がみられます。
②大腸などの消化管が過敏な状態にあり、外からの刺激で蠕動運動の亢進、腹痛を起こします。
③心理的な影響が関わり、抑うつ感・不安感・緊張感・意欲低下・欲求不満などのメンタル症状がみられることがあります。
過敏性腸症候群に深く関わる脳腸相関
脳と腸は、双方向の神経のネットワークでつながっています。このような関係を「脳腸相関」と呼んでいます。
脳からの神経は、腸の蠕動運動や腸液の分泌、血流などを調節し、一方、腸からの情報は知覚神経を通じて脳へ伝えられます。
脳で感じるストレスや不安などは腸に影響し、腸の過敏、便秘や下痢、腹痛などのお腹の不調を起こします。
セロトニンの関与
近頃、「幸せホルモン」とも呼ばれ、注目されているセロトニン。脳のセロトニンは、感情や気分のコントロール、精神の安定に深く関わっているためこう呼ばれています。
じかし、実はカラダの中にあるセロトニンの90%以上は腸の細胞内にあり、脳には数%しかありません。
セロトニンは、腸の蠕動運動を高めたり、興奮物質であるドーパミンやノルアドレナリンなどを抑制し、精神を安定させる作用があります。
ストレスが蓄積すると脳からの刺激で、腸のセロトニンが過剰に分泌され、腸の蠕動運動が亢進したり、腸の過敏を起こします。
過敏性腸症候群と腸内環境
健康的な腸内環境をたもつためには、腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスをたもつことが重要です。これまでの研究により、腸内フローラが美肌、肥満、便秘、糖尿病、大腸がん、アレルギー(花粉症、アトピー性皮膚炎)、認知症、うつなどにも関連していることが明らかになっています。
また、腸内細菌のバランスの乱れが、過敏性腸症候群の誘因になることもわかっています。ビフィズス菌を含むプロバイオティクスの食品を摂取すると、過敏性腸症候群の症状が改善したとの研究報告もあります。
過敏性腸症候群の診断
過敏性腸症候群と診断されるには、「腸に癌や潰瘍、炎症などの異常がない」ことが前提となります。病院で必要な検査を受け、医師から診断を受けることになります。
過敏性腸症候群には、RomeⅣ(ローマⅣ)基準という世界的に使用されている診断基準があります。この基準に当てはまれば、過敏性腸症候群が疑われることになります。
ローマⅣ基準
腹痛などの症状が半年以上前から続いている。
さらに
①「排便と腹痛が関連している」
②「排便回数が増えたり減ったりしている」
③「便が硬くなったり、軟便、水様便になったりしている」
のうち2項目以上が、この3ヵ月間のうち1週間に1日以上みられた場合は、過敏性腸症候群の可能性が考えられます。
例)排便時に腹痛があり、便は軟便や水様便の下痢便が多く、排便後に腹痛が軽快するような状態が週に1日以上あり、半年以上続いている場合などが当てはまります。
過敏性腸症候群の症状
過敏性腸症候群の症状は、①消化器症状がメインになりますが、病態が重くなるにつれて②自律神経失調症状や③精神症状を伴う場合もあります。
①消化器症状
排便時の腹痛,便秘や下痢,ガス症状(ガスが溜まる、ガスがよくでる),食欲不振,上腹部の痛み,吐き気,胸やけなど
②自律神経失調症状
頭痛,頭重感,めまい,動悸,疲れやすい,手足の冷感など
③精神症状
抑欝感,不安感,不眠,焦燥感,意欲低下など
過敏性腸症候群の対処法
①過敏性腸症候群のケアにはまず、「病態を理解する」ことが重要と言われています。
過敏性腸症候群は腸の機能異常であり、癌や潰瘍などの重大な病気ではないことやストレスと腸の関連(脳腸相関)、腸のの過敏などについても理解するようにします。
②日常生活の改善
生活上の問題点明らかにし改善するようにします。
規則正しい食事、排便習慣、過労・睡眠不足やストレスを避ける、適度な運動や休息、趣味などによる気分転換など
③食事内容の見直し
食事と症状の悪化が関連している場合は食事内容を変える。
脂肪食は便秘、乳糖やソルビトール(ダイエット食品や菓子に含まれる甘味料)は下痢を助長する場合があります。高炭水化物食、高脂肪食、コーヒー、アルコール、香辛料などは症状を悪化させる場合があるので避けるなど。
④薬物療法
止痢剤、整腸剤、下剤、消化管運動調整剤、精神症状には抗不安剤や抗うつ剤などの向精神薬が用いられます。
セロトニン受容体拮抗薬(ラモセトロン塩酸塩);下痢タイプの下痢症状、腹痛、腹部不快感などに効果があるとされています。
⑤心理療法
症状が重度でない場合は、緊張・不安を和らげ、ストレスため込まないようにします。薬物療法が効果のない場合や重度の神経症状などがある場合は、自律訓練法、筋弛緩法、催眠療法、認知行動療法などの心理療法が行われます。
まとめ
現在のところ、過敏性腸症候群の確立された治療はないと言われています。
さまざまな治療に対して効果のみられない患者さんも多く、欧米では代替医療(西洋医学以外の療法。様々な民間療法など鍼灸治療も含まれます。)への期待が高まっています。
鍼灸治療は、自律神経系に作用し、全身の臓器の機能を調整する効果が期待できます。
当院では詳細なカウンセリングによる改善点のアドバイス、腸を整える鍼灸施術、腸内環境を整えるプロバイオティクス、腸内環境を調べる腸内細菌検査などをご提案しています。
お腹の不調や過敏性腸症候群でお悩みの方は、お気軽にご相談下さい。