ブログBlog

Blog

075-285-1017

営業時間

午前 09:30~12:00
午後 14:00~20:00

定休日

日・祝
※土曜日 9:30~12:30,14:00〜18:00にご希望の場合は、
  電話でご確認下さい。

Home > ブログ > NHK BS「フロンティア」『東洋医学とは何か』で、経皮的耳介迷走神経刺激療法(taVNS)が紹介されました

NEWS

NHK BS「フロンティア」『東洋医学とは何か』で、経皮的耳介迷走神経刺激療法(taVNS)が紹介されました

2/8(木)に放送された NHK BS「フロンティア」『東洋医学とは何か』で、鍼灸がとりあげられました。 鍼灸にはどんな効果があるのか?これまで謎に包まれていた「東洋医学」。今、最新科学が明らかにするその新たな可能性に迫る。ということで、鍼灸のメカニズムが紹介されました。

そのなかで北海道大学遺伝子病制御研究所,大学院医学研究科分子神経免疫学の村上正晃教授が研究で取り組まれている微小炎症制御プロジェクトにて実施されているニューロモデュレーション医療が紹介されました。

ニューロモデュレーションは、神経系(脳、脊髄、末梢神経)になんらかの刺激(電気刺激や磁気刺激、薬物投与など)を与えて神経の機能を調節する治療方法です。

村上教授は、 「これまで東洋医学・鍼灸の治療メカニズムは、『自律神経のバランス』といったような非常に抽象的な概念でしか説明できませんでした。しかし、最近、さまざまな神経科学・神経生理の研究から鍼灸の治療メカニズムのひとつは『二ユーロモデュレーション』であることが分かってきました。 と述べられています。

まさに村上教授が述べられている通り、当院でも鍼灸治療のコンセプトとして、「鍼灸治療は二ユーロモデュレーション療法の一つ」と考えています

鍼灸刺激で末梢神経を刺激し、その刺激が自律神経を含めた中枢神経系に作用し、全身の機能に影響を与えると考えています。

当院では、番組で紹介された自律神経である迷走神経を刺激する経皮的耳介迷走神経刺激療法(taVNS)を鍼灸治療に取り入れています。

目次

番組で紹介された経皮的耳介迷走神経刺激療法(taVNS)とは

経皮的耳介迷走神経刺激療法(taVNS;transcutaneous auricular vagus nerve stimulation)は、ニューロモデュレーション治療の手法の一つとして、耳介に分布している迷走神経を電気刺激する手法です。
番組では北海道大学病院で、間質性肺炎の患者さんに対するtaVNS療法の臨床試験の様子が紹介されました。
迷走神経(vagus nerve)は、脳神経の1つ(第Ⅹ脳神経)で、脳神経の中で唯一脳(延髄下部)から腹部にまで達し、頸部・胸腔・腹腔内臓(横行結腸右1/3まで)を調節する副交感神経線維を含む神経です。
迷走神経は、内臓の機能を調節するだけでなく、内臓の情報を脳に伝える知覚線維を含んでいます。
耳介に分布している迷走神経は、知覚線維で耳介や外耳道の知覚を脳に伝えています。
体表面に分布している迷走神経は、唯一耳介枝だけであり、耳介の迷走神経分布領域を刺激することで、脳の様々な神経ネットワークに作用することが分かっています。
近年、てんかんやうつ病、頭痛、不眠症、耳鳴、機能性ディスペプシア、脳卒中後のリハビリテーション(上肢機能)などに対する臨床効果が報告されています。

迷走神経の抗炎症作用

迷走神経の機能として炎症を抑える抗炎症作用が研究で証明されています。
この抗炎症作用が働く経路にはいくつかあって、番組では脾臓におけるアドレナリン作動性抗炎症作用が紹介されていました。
耳介の迷走神経を電気刺激すると、そのシグナルが脳に伝わり、遠心性の迷走神経が刺激されます。
そのシグナルが迷走神経を下行し、腹腔神経節から脾神経に伝達され脾臓に到達すると、神経伝達物質であるノルアドレナリンが放出され、脾臓内にあるT細胞(リンパ球)の β2アドレナリン受容体にアドレナリンが結合し、T細胞からアセチルコリンが放出されます。
このアセチルコリンが脾臓内のマクロファージのα7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7 nAChRs)と結合すると炎症性サイトカイン(TNFαやIL-6など)の放出が抑制され、炎症が抑制されるというものです。

ニューロモデュレーション治療の治未病(病気予防)の可能性

村上教授は、
「ニューロモデュレーション治療で、微小な炎症『病気のタネ』を抑えて、病気にさせない治療法が可能かどうかを検証する。」
「治未病(病気を未然に治す)。ニューロモデュレーション治療は、病気にさせない治療法の開発に繋がる。」
「西洋医学と東洋医学の融合で健康長寿社会を実現できるように進めたい。」
と述べられていました。
これまでの研究で、鍼灸刺激が今回の番組で取り上げられた迷走神経に作用することが分かっています。
今後の研究で鍼灸治療が治未病(病気予防)に繋がることが検証されることを期待したいと思います。

シェアするShare

ブログ一覧